2025年10月25日(土)に行われた、映画『ミーツ・ザ・ワールド』公開記念舞台挨拶に杉咲花が出席した。
芥川賞作家・金原ひとみ氏が歌舞伎町を舞台に描き、第35回柴田錬三郎賞を受賞した同名小説を、監督に松居大悟氏、主演に杉咲花を迎えて映画化した『ミーツ・ザ・ワールド』が10月24日(金)に全国公開した。
主演・三ツ橋由嘉里役を演じる杉咲は「こんにちは、三橋由嘉里を演じました杉咲花です。お足元の悪い中、この映画を選んで観に来てくださって本当にありがとうございます。短い時間ですが、よろしくお願いします」と挨拶。

試写会で腐女子である由嘉里の解像度が高いという評価を受け、演じる上で意識したことを聞かれると「原作の人物造形の素晴らしさだと思うんですけれど、クランクインする前に演出部さん達がリサーチしてくださったり、資料をいただいたり、自分でもSNSや実際にお会いして色々なお話をお聞きしたりして、監督とちょっとずつ試行錯誤して由嘉里という人物を探していった感じですね」と振り返り、本作が食事のシーンが多いそうで、印象に残っているシーンについて「とにかくもりもり食べてほしいと言われていたので、そのことしか考えずに演じていたんですけれど、ラーメン屋さんのシーンは何度か出てきて、本当にそのラーメンが美味しくて、みんなカットがかかった後もずっと食べていました」と明かした。

また、自身の新しい世界(ミーツ・ザ・ワールド)と出会ったと感じたエピソードはという質問に“山”と書いたフリップを掲げた杉咲は、その理由を「ずっと登山をしたかったんですけれど、最近やっと行けて。木曽駒ヶ岳という長野のほうにある山を登ってきて、すごくきつかったんですけれど、山頂で食べたサラミがめちゃくちゃ美味しくて。こんなに美味しかったんだってなるぐらい、お菓子とかが、本当にありがたい味がするというか。そういう経験を初めてして、幸せでした」と述べ、最後に「この撮影期間はなんだかすごく苦しい日々だったなと思い返していたんですけれど、あまり自分が個人的な感情を演じる時に持ち込むほうではないと思っているのですが、それでも由嘉里を演じていて、他者と自分を比較してしまうところとか、自分のことを好きになれないような部分とか、なんだか他人事ではないような、人に見せてはいけないようなところを見せているような感覚になる撮影の日々で。撮影中はその苦しみの中にいたので気づかなかったんですけれど、完成した映画を客観的に観た時に、人に見られて恥ずかしいなって思ってしまうようなところを、案外人は面白がってくれるのかもしれないって気づいたりして、すごく救われました。自分のことは好きになれなくてもいいから、それでも、そういうところも含めて自分なんだって思わせてくれるような、エールのもらえる作品になりました。この映画が、観てくださる皆様の心の琴線に触れてくれたら嬉しいなと思います。今日は来てくださって本当にありがとうございました」とメッセージを送った。