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【レポート】杉咲花 映画『市子』完成披露舞台挨拶

2023年11月6日(月)に行われた、映画『市子』完成披露舞台挨拶に杉咲花が出席した。

本作は、監督の戸田彬弘氏が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した舞台「川辺市⼦のために」が原作。観客から熱い支持を受け2度再演された⼈気の舞台が映画化となり、2023年12月8日(金)より全国公開する。

主演・市子役の杉咲は「こんばんは。市子を演じました杉咲花です。今日は劇場まで足を運んでくださってありがとうございます。時間の許す限り、楽しいひと時を過ごせたらいいなと思います。よろしくお願い致します」と挨拶し、キャストが揃っての舞台挨拶は本日が初めてとなり「感慨深いですね。完成披露をする時期になると、あっという間に初日がやってきて、気付いたら観客の皆様の元へ届いているという感覚なので、高揚と同じぐらい、寂しさもあるんですけれど今、この景色を目に焼き付けておきたいなと思います」と語った。

役柄を演じて「味わったことのない経験をさせてもらったなと思います。演じ手として『自分がこう表現しなければ』みたいな欲が剥がれ落ちて、ただ起こっていることに対して反応してしまう時間。ぐわんぐわん心が揺さぶられるような時間を演じていて過ごせたのは初めての体験で、それだけ引力のある作品だったんだなっていうことを改めて感じさせられますし、素晴らしい経験をさせてもらったなと思います」と振り返り、完成した作品を観て「この映画は市子に関わった第三者の視点から、市子という人物が浮かび上がっていく話なのですが、市子を語る方々のシーンは現場に立ち会っていなかったので、それぞれの人々の中に、市子という人が影を残して、それぞれの市子像があったんだなということにハッとしましたし、身に迫るものがありました」とコメント。

また、印象的なシーンについて「この映画は虹がキーワードになっていたりもするんですけれど、ラストシーンをクランクアップの日に撮影していて、その日は突き抜けるような青空で。その中に優しく虹がかかっていて、それを見た時に、こういうものに映画は守られていたのかなと思わざるを得ないというか、そういう感覚になってすごく記憶に残っています」と話し、最後はキャストを代表して「自分にとって市子を演じた時間は引き裂かれるような痛みがあったと同時に、自分の中の大切な記憶として、この先も何度も何度も再生したいなという多幸感に包まれた時間でもありました。人は外側から他者を見て、大変そうとか、かわいそうとか、自分の物差しで色々なことを思うことがあると思うんですけれど、この映画の中の中村ゆりさん演じる市子の母が『幸せな時期もあったんやで』というセリフがあるように、どんな環境にいたとしても、その人のことはその人にしか分からなくて、どんなふうに感じて、日々何を受け止めて生きているのかということは、自分達にしか分からないことがあって。その上でどれだけ他者と関わっていくことができるんだろうっていうことを突きつけられるような映画になっていると思います。個人的には、この映画をどう受け止めるかっていうことが、自分達の実生活に反映するような気がしていますし、自分には関係ないと思っている人にこそ、この映画を観てもらいたい気持ちがあります。この後観ていただいて何か揺さぶられるものがあれば、ぜひこんな映画があったっていうことを広めていただけると嬉しいです。今日は来てくださって本当にありがとうございました」とメッセージを送った。